お昼ご飯・お弁当の定番として、日本でも当たり前のように食べているサンドイッチ。
サンドイッチという言葉が生まれたのは、今から200年〜300年前のことです。
18世紀にイギリスの、「ジョン・モンタギュー第4代サンドイッチ伯爵」が命名したという伝承があります。
今回は、身近だからこそ謎に包まれているサンドイッチの歴史・起源などについて解説します。
サンドイッチの定義
サンドイッチ(Sandwich)とは、パンに肉・魚・野菜などの具を挟んだり、乗せたりして、パンと一緒に食べる料理の総称として使われています。
私達が一般的にサンドイッチと呼んで食べているものは、パンを二枚使うにしろ、切れ込みを入れるにしろ「パンの間に具材を挟みこんだ」形状のものが多いですよね。
しかし、トルティーヤ等で食材を巻いて作るラップサンドもサンドイッチの一種ですし、クロックムッシュやカナッペ等の料理も「オープンサンドイッチ」という総称で呼ばれるように一般的にはサンドイッチに含まれるものとして扱われています。
厳密に言えば、どこまでがサンドイッチになるのかは定かではありませんが、一般的にはパンと具を一緒に食べる=サンドイッチくらいの感覚ですね。
ピタサンドやカルツォーネもサンドイッチに含まれますから、一口でサンドイッチと言っても地域によって多種多様であることが分かります。
ちなみに、サンドイッチという言葉は「2つのものの間に何かを配置する」、「異なる要素を交互に配置する」という様な意味合いでも使われています。
サンドイッチには含まないという見解が主ですが、パン以外のものを使ったアイスクリームサンドイッチやクッキーサンドイッチもありますし、レイヤーケーキをサンドイッチケーキと呼ぶこともありますね。
サンドイッチの日
サンドイッチという呼び名は18世紀に存在したイングランドの「第4代サンドイッチ伯爵(ジョン・モンタギュー)」が由来です。
11月3日は「National Sandwich day(ナショナルサンドウィッチデー)」に制定されていますが、これもサンドウィッチ伯爵の誕生日であることが理由の一つとされています。
なお、紛らわしいのですが日本では3月13日が「サンドイッチデー」で、11月3日が「サンドウィッチの日」と分かれています。
11月3日はサンドイッチ伯爵の誕生日に加えて「いい(11)サン(3)ド」の語呂から、3月13日は1が3で挟まれている「サン(3)ドイッチ(1)」の語呂で選ばれたそうな。
サンドイッチの種類・区分
大まかには5つのタイプに分けることが出来ます。
なお、専門家ではないので曖昧な部分もありますが、サンドイッチの種類をざっくりと紹介します。
2枚のパンで挟んだ一般的なタイプ
日本で単にサンドイッチと言った場合にイメージする方が多いのが、こちら。
二枚のパンの間に何らかの具材を挟んだサンドイッチです。
日本なら二枚の食パンに具が挟まっているのがポピュラーではありますね。
世界的に見てもこのタイプのサンドイッチが定番ではあるようです。
サブマリンサンドイッチ
サブマリンサンドイッチは棒状・長方形に成型した一つのパンを2つ切り分けて、その間に具材を挟んだもの。
形が潜水艦に似ていることからSubmarineもしくは略してSubが付けられています。
地域によってhoagieやgrinder、イタリア系アメリカ人がよく食べていたことからイタリアン・サンドイッチ(Italian sandwich)と呼ばれることも。
身近なところであればサブウェイさんで提供されているサンドイッチがこのタイプで、パニーニ(パニーノ)等もサブマリンサンドイッチ系統に入れられることが多いようです。
ポケットサンドイッチ
これには、ポケットのように中空状態になっているパンに具材を入れたピタサンドや、イタリアのカルツォーネ・南米のエンパナーダなどのパン(小麦粉の生地)に具を包んで折り込んだものが含まれます。
アメリカではネスレさんからホットポケット(Hot Pockets)と呼ばれるブリトーのような冷凍食品も代表的なポケットサンドの一つとされています。
ロールサンドイッチ
ロールサンドイッチは名前から想像がつく通り、具材と生地を巻いたタイプの料理を指します。
オープンサンドイッチ
オープンサンドイッチはパンの上に具材を乗せたもので、挟まれたり包まれたりしていないタイプのものです。
フランスのクロックムッシュやクロックマダム、デンマーク料理のスモーブロー等が代表的。
前菜として使われるカナッペであったり、食パンの上にハムと卵を乗せたようなものもオープンサンドイッチに含まれます。
サンドイッチの歴史・起源
実は、古代ローマ時代からの料理
サンドイッチの料理方法、パンに食材をはさんで食べられていた、という伝承は、古くから存在しており、一番古い伝承は、古代ローマ時代。
まだサンドイッチという名前はなかったのですが、1世紀のユダヤ教の律法学者(ラビ)ヒレルが、ユダヤ教の宗教的記念日に仔羊の肉と苦い香草を、パンで挟んで食べたという記述が残っていました。
この頃のパンはまだ酵母が入っておらず、平たいパンであったという事ですので、今のフワフワなパンで挟んだサンドイッチとは、きっと全然違う食感だったでしょう。
トランプ好きのサンドイッチ伯爵
サンドイッチの名付け親であるイギリスの貴族「第4代サンドウィッチ伯爵ジョン・モンタギュー」は、無類のトランプ好きでした。
彼はトランプゲームに夢中になっている時、ふと空腹を覚え、ゲームを続けながら食事をしたいと思い、二枚のパンを牛肉で挟んで食べたのです。
その時、「これは片手で食べられるし、指も汚れない。ゲームを続けながら食事もできる」ということで、伯爵が大変気に入り「サンドイッチ」という名前がついたのだそうな。
これがサンドイッチ命名の由来としては、最も有力な説のようです。
仕事で食べていたという伝承も
他の歴史的文献によると、この頃、海軍であったサンドイッチ伯爵は、ゲームどころではなく仕事でとても多忙であったという記録がありました。
「サンドイッチ伯爵は、仕事しながら片手で食べられる食べ物を、とても気に入っていた」ことから、この名前がついたという説もあるようです。
サンドイッチの普及
18世紀後半にイギリスで普及したサンドイッチは、イギリスからヨーロッパ各国へと広がっていきます。
「食べやすい」・「作るのが簡単」・「携帯できる」という利点が評価され、欧米であっという間に普及していったそうです。
アメリカにもサンドイッチは19世紀初頭までに伝わっており、1816年にはアメリカの料理本にも登場しています。
サンドウィッチ伯爵が食べていたとされるものは冷たい肉と野菜が具材でしたが、広がっていく中で具材にも変化が起こります。
各地に元々存在していたパンと他の料理を組み合わせて食べる文化と融合したり、フランスのバゲット等それぞれの国で好まれているパンが使用される等、同じ言葉で表現するのはどうなのかと悩むほど様々なバリエーションが誕生していったですね。
19世紀後半にはソーセージを挟んだホットドッグ、20世紀初頭にハンバーグを挟んだハンバーガーの原型と呼べるものも誕生しています。
同じく1900年代初めにはアメリカでクラブサンドイッチやBLTサンド、フランスでクロックムッシュ等も登場します。
日本でのサンドイッチの歴史
日本にサンドイッチが伝わったのは明治、一般庶民にまで広く普及したのは第二次世界大戦後と言われています。
世界大戦以以前にも洋食店がメニューに加えたり、駅弁・おもたせ用としてサンドイッチが販売されていました。
しかし、当時はまだ一部地域以外ではパンを食べるというのが珍しい時代で、食パンの製造販売も外国人向け、洋食店向けという状態でした。
切り分けられた食パンが日本で流通するようになったのは、戦後に駐在していたアメリカ人兵士の要望がきっかけとも言われています。
スライスした状態での食パン販売が始まり、後に日本人好みの味と食感へと改良された食パンが購入できるようになると、サンドイッチの普及率も高まっていきます。
元々、日本には「おにぎり」という文化があるので、昼食用として具を入れたサンドイッチにすることに対して、すんなり受け入れられたのでしょうね。
そして、今やサンドイッチはコンビニ・スーパーでも定番商品となっているのです。