キレイな緑色の葉から生まれる爽やかな香りが印象的なバジルは、イタリアン料理には欠かせないハーブとして、日本でもすっかりお馴染みのものとなりました。
今回は、このバジルの種類や栄養、効能効果を解説します。
バジルとは?
「バジル」は、インド原産のシソ科メボウキ属の植物。
和名をメボウキといい、イタリアではバジリコと呼ばれています。
バジルの用途は主に食用であり、葉はハーブ野菜として料理の風味つけに、種はデザート・ダイエット食品として利用されています。
バジルの種類について
バジルには約150種があります。
中でもイタリア料理において、パスタ、ピザ、サラダ等に幅広く使われる「スィートバジル」が有名です。
また、「ホーリーバジル」は、タイ料理のガパオ等、東南アジアの香味野菜として使われ、インドではトゥルシーティーという健康茶として利用されています。
他にも、柑橘系の香りを持つ「レモンバジル」、小さく細い葉がこんもりと丸く茂る「ブッシュバジル」、紫色の葉が美しい「ダークオパールバジル」等があります。
バジルの由来
バジルの語源は、古代ギシリャ語の「王様」を意味するバシレウスに由来し、主に薬用として利用されていました。
原産のインドでは、古くからホーリーバジルが「トゥルシ」という名で、聖なる植物、不老不死の象徴として、儀式・アーユルヴェーダ(伝統医学)で使われてきました。
ヨーロッパへは、アレクサンダー大王の東方遠征によってインドから持ち帰られたと伝えられています。
そして、日本へは江戸時代に渡来しました。
その種を水分でふやかしゼラチン状にし、目薬として利用したことから、「メボウキ=目箒」の名がつけられています。
バジルの栄養
イタリア料理には欠かせないバジルですが、栄養価はどうなっているのでしょうか。
以下、ご紹介する栄養成分の含有量は、バジル生葉の可食部100g当たりの数字です。
【栄養成分・生葉100gあたり】
- カロリー:24kcal
- 脂肪:0.6g
- 炭水化物:4g
- ナトリウム:1mg
- カリウム:420mg
- カルシウム:240mg
- マグネシウム:69mg
- リン:41mg
- 鉄:1.5mg
- 亜鉛:0.6mg
- 銅:0.2mg
- β-カロテン:6300ug
- ビタミンE:3.9mg
- ビタミンK:440ug
- ビタミンB1:0.08mg
- ビタミンB2:0.19mg
- ビタミンC:16mg
バジルの特徴は、体内でビタミンAに変化する「β-カロテン」や「ビタミンE」、「カルシウム」が多いことです。
人参もβ-カロテンの多い食品ですが、人参皮つき可食部100g当たりのβ-カロテンは6900ug、ビタミンEは0.4mg、カルシウムは28mgであり、ビタミンEもカルシウムも、バジルには人参の約9倍も多く含まれています。
バジルは生葉で食べる他、パスタ・ピザ等、加熱して食べることがあり、その時の栄養成分の変化は調理法によって違いがでてしまいます。
例えば、「油で炒める」、「蒸す」という調理方で利用すると、β-カロテンやビタミンEはさらに増えますが、「茹でる」と栄養成分は減ってしまいます。
なお、乾燥バジルの栄養成分は生葉と同じです。
バジルの効果・効能
胃腸の働きを整える
フレッシュなバジルの爽快な風味は、私達の食欲を旺盛にしてくれますが、それもそのはず。
バジルには胃腸を整える働きがあり、消化不良、便秘の解消、胃炎・胃酸過多の緩和、嘔吐や胃痙攣などにも効果があります。
殺菌・抗菌作用
古来より消毒用にも使用されてきたバジルには、優れた殺菌・抗菌作用があります。
これは香り成分である「シオネール」や「オイゲノール」の働きによるものであり、風邪・気管支炎など細菌性の疾患の予防として有効です。
免疫力アップ・アンチエイジング
バジルには、私達の免疫力を高める「βカロテン」が豊富に含まれています。
このβカロテンには、老化原因となる活性酵素(体内の錆び)を抑制する「抗酸化作用」もあります。
その為、アンチエイジングとしての効果も期待できます。
リラックス効果
バジルの爽やかな香りの成分「リナロール」には、神経を落ち着かせる鎮静効果があります。
これによって、イライラを鎮め、不安を抑え、ストレスを解消し、リラックスをもたらしてくれます。
また、偏頭痛にも効果があります。
カルシウムも豊富
バジルには、ミネラルも豊富です。
特に現代の私達に不足しがちな「カルシウム」を多く含み、イライラの解消に役立ちます。
また、バジルにはカルシウムの吸収を助ける「ビタミンK」も含んでいる為、効率的にカルシウムが摂取できます。
アレルギーを抑制する作用がある
バジルは抗アレルギー作用があると報告されています。
アレルギー性鼻炎に感染させた実験用のラットにスウィートバジル等が含まれている物質を投与して経過観測したところ、くしゃみを抑制し、鼻粘膜からアレルギー反応を抑えることができ、鼻過敏症状を緩和できたという報告が上がっています。