秋の味覚の代表格であり、スイートポテトの材料でもある「さつまいも」。
スイーツのように甘く美味しいですが、栄養面でも優れています。
余談ですが、そんな「さつまいも」について、解説します。
そもそも、「さつまいも」ってどんな食べ物?
「さつまいも」の種類はヒルガオ科のサツマイモ属の植物。
芋の部分は食べられて、でんぷん・焼酎の原料にされています。
では、どこで誕生して、どこから来たのでしょうか?
「さつまいも」の歴史と原産地
「さつまいも」はアメリカのメキシコで生まれました。
紀元前800~1000年に中央アンデス地方で作られ、15世紀の終わりにコロンブスがアメリカから持って帰ったと言われています。
しかし、涼しい気候が合わず、作るのに不適当な為、東南アジアに、スペイン人やポルトガル人が持って行って広めました。
そして、中国へ広がり、アメリカからポリネシアの島へと広まりました。
暖かい気候は「さつまいも」が育つには絶好の環境で、さらに世界中に広まりました。
「さつまいも」の語源・日本への伝来
「さつまいも」は1600年頃、中国福建省から日本へ来ました。
1597年に宮古島、1607年に琉球に伝わり、1614年頃、薩摩に伝わりました。
「さつまいも」という名前は、薩摩に伝わったことによって付いたのです。
なお、その他には、甘藷(かんしょ)、中国から来たので、唐芋(とういも、からいも)、沖縄から伝わったので琉球芋とも呼ばれています。
「さつまいも」の日本への伝播の背景・歴史的背景
八代将軍「吉宗」のころに、蘭学者の「青木昆陽」によって全国に広められました。
今の埼玉県川越市あたりはサツマイモの産地で、江戸から十三里あった為、ここから来る焼きいも屋のことを「十三里」と呼んでいました。
それにひっかけて、焼きいも屋が「栗(九里)より(四里)うまい十三里(9+4=13)」とふれて売っていたそうな。
「さつまいも」の栄養・効能について
「さつまいも」は、糖質が多いことからダイエットに向かない食材だと敬遠している人もいるのではないでしょうか。
実は、他の芋類に比べて食物繊維を多く含んでいる為、お腹に貯まった宿便を、すっきり排出してくれる効果が期待できます。
その為、お腹からすっきり綺麗になるには、最適の食材で、便秘解消以外にも、意外な効能があります。
「さつまいも」の栄養素
ビタミンC
体の細胞同士を結ぶ「コラーゲン」を作るのに不可欠な栄養素。
皮膚・粘膜の健康維持に役立つ他、カルシウム・ミネラルの吸収を促進する働きがあります。
通常のビタミンCは熱に弱いですが、「さつまいも」に含まれるビタミンCは、熱に強い特性があるといわれています。
食物繊維
根菜類に多く含まれる栄養素で、人が持つ消化酵素では分解することができない為、体内に吸収はされません。
水に溶けやすい「水溶性食物繊維」は小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えると言われます。
水に溶けにくい「不溶性食物繊維」は大腸を刺激し、排便をスムーズにすることで腸がきれいになります。
ヤラピン
「さつまいも」を切った時に断面に染み出してくる白い液体。
「さつまいも」特有の成分で、熱に対して安定的で、加熱調理をしても変質しません。
腸の蠕動運動を促進し、便をやわらかくするといわれています。
カリウム
野菜や果物、豆類等に多く含まれている栄養素。
ナトリウムとともに細胞の浸透圧調整を維持している他、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して排泄する役割も担っています。
ビタミンE
油脂に溶ける脂溶性ビタミン。
「抗酸化作用」を持ち、体内の脂質の酸化を防ぎます。
この働きによって細胞膜の酸化による老化、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化などの生活習慣病の予防になると言われています。
アントシアニン(紫品種)
アヤムラサキ等の紫品種には赤ワインに含まれているポリフェノールの一種、「アントシアニン」が含まれています。
アントシアニン色素は、生活習慣病を引き起こす活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用が近年明らかになってきています。
βカロテン(安納芋)
安納芋には、緑黄色野菜の多く含まれる「βカロテン」という栄養素が含まれています。
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、こちらも抗酸化作用があり、生活習慣病の予防に期待できます。
他にも、白内障の予防や視力の維持等、目の健康にかかわっています。
「さつまいも」の効果・効能
美肌効果!肌のシミ対策に効果的
ビタミンCは、肌のシミ対策や炎症に効果的と言われる栄養素。
「さつまいも」に含まれるビタミンCは、リンゴの約5倍で、ビタミンEを同時に摂取することにより美肌効果を発揮すると言われています。
腸内環境を整える
腸は「第二の脳」とも呼ばれている重要な臓器であり、肌は腸の健康状態とも密接に関連しています。
その為、腸内環境を整えることはとても重要です。
「さつまいも」には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水には溶けない「不溶性食物繊維」の、2つの食物繊維が入っています。
水溶性食物繊維は余剰な糖質や脂質をキャッチし、不溶性食物繊維はそれを排出してくれます。
この2つの食物繊維が、お腹の中を美しくしてくれます。
老廃物の排出をサポート
「さつまいも」には腸(お腹)の中を美しくしてくれる「食物繊維」と「ヤラピン」が含まれています。
この2つの栄養素は腸に届くと老廃物の排出の手助けをしてくれます。
脳のエネルギー源を作り出す
「さつまいも」に含まれるビタミンB1は、脳にとってのエネルギー源であるブドウ糖をエネルギーに変換するときに欠かせない栄養素です。
ビタミンB1が不足すると疲労感・食欲の低下を引き起こし、ストレスを感じやすくなってしまいます。
季節の変わり目・新生活のスタート等、体調が変わりイライラ・ストレスを感じやすい時には、「さつまいも」を食べると良いでしょう。
むくみの原因になるナトリウムを体の外に排出してくれる
カリウムは、余分なナトリウムを体外に排出してくれる為、むくみ対策に有効的です。
「さつまいも」には米飯の18倍のカリウムが含まれています。
むくみ対策の習慣としては温かいものを食べるようにして、体を冷やさないことが基本です。
その為、温かいミルクと一緒に「さつまいもラテ」等にすると、よりむくみの改善が期待できます。
抗酸化作用で元気な体作りをサポート
ポリフェノール・ビタミンC等は抗酸化作用があります。
「抗酸化作用」とは細胞の酸化を抑えることを言い、細胞を酸化から守ることで、体の中から美しくなり元気な体づくりをサポートしてくれます。
がんの発生原因の1つである活性酸素の発生を抑制
ビタミンCは、がんの発生原因の1つである活性酸素の発生を抑制する効果があると言われています。
ビタミンCは体内で蓄積されず排出されるので、こまめに摂取することが大切。
血糖値の上昇を緩やかにする
「さつまいも」は、「低GI食品」と言われる、血糖値の上昇が緩やかになる食品です。
通常、食品の糖分は、食事で吸収された糖分がブドウ糖に変換されて血液中を循環することで、インスリンが分泌され、インスリンによって血糖が細胞に届けられていく仕組みです。
インスリンには脂肪を作ったり、逆に脂肪が分解するのを抑制する働きがある為、インスリンの増加を抑え、血糖値の上昇を緩やかにする「低GI食品」が注目されているということですね。
生活習慣病の予防効果
ビタミンEには、抗酸化作用があり、体内の糖質の酸化を防ぐ効果があります。
糖質の酸化を防ぐ効果によって細胞膜の酸化による老化を防ぎ、血液中のLDLコレステロールの動脈硬化などの生活習慣病の予防効果にもなります。
皮も一緒に食べるのが、オススメ
「さつまいも」の皮には、抗酸化作用が期待できるポリフェノールや、ビタミンC、カルシウムが多く含まれています。
また、ヤラピンは、皮と実の間に多く含まれている為、皮をきれいに洗って皮ごと食べることで、余すことなく栄養素を摂取できるのでオススメです。
保存方法・期間
丸ごと保存する場合、1本ずつキッチンペーパーに包んでから新聞紙に包み、ビニール袋に入れて風通しの良い冷暗所で常温保存します。
保存の目安は約6カ月です。(夏期を除く)
気温が高い場合(12℃以上)は冷蔵室へ。
なお、使いきれずに余ってしまったら、生のまま冷凍できます。
皮付きのまま使いやすい大きさに切って水にさらし、水気を十分に拭き取った後、冷凍保存袋に入れて冷凍室へ。
使うときは凍ったまま調理。
1カ月を目安に食べきりましょう。
美味しい「さつまいも」の選び方
皮の色が鮮やかでムラがなく、ふっくらとした形のものがオススメ。
持ってみて、ずしりと重みがあるものがよいでしょう。
特に、甘いものを選ぶ際には、軸の部分をチェック。
軸から蜜が出ていたら、完熟して甘みが増しています。
また、切ったときに切り口から蜜の跡が出ているものは糖度が高い証拠です。
ひげ根の跡が多く、均一に並んでいるものを選びましょう。
逆に、ひげ根が生えたままのものは、繊維が多く筋っぽい場合が多いので、避けましょう。
旬・産地
「さつまいも」は、初秋~初冬が旬の時期で、主に北関東以南の地域で生産されています。
気温20~30℃の地域が栽培に適しており、鹿児島県、茨城県、千葉県で多く収穫されています。