バナナの歴史
バナナは芭蕉科の多年草で、起源はマレー半島のあたりだと考えられています。
バナナの栽培が開始したのは、いつの頃だったのかわからないほど古い時代のことです。
元々、バナナには種があり、東南アジアのどこかで、この種を移植するという形でバナナ栽培が始まりました。
これは、遅くとも3~4万年前と言われています。
そして、今から5000年以上前には、種がなく可食部の多い突然変異種、すなわち、現在一般的に売られているバナナが見つかり、栽培が始まりました。
当初は東南アジア~ニューギニアにかけて栽培されていましたが、この地に住んでいたマレー・ポリネシア系民族がフィリピン、インド、太平洋の島々に移住していった際、栽培方法も伝わったと考えられています。
そこから、人の移動に伴い、バナナがアフリカに渡ったのは紀元前2000年頃と推定されています。
現在、バナナの主要な産地である中南米には、スペイン人によりアフリカ経由でもたらされたようです。
さらに、19世紀の後半以降になると、アメリカ資本で中南米各地やフィリピンに大規模なバナナのプランテーションが作られ、現地の主要輸出品となっていきます。
現在でも日本で食べられているバナナの殆どは「フィリピン産」ですよね。
日本に初めてバナナが輸入されたのは明治時代で、当初は台湾から輸入していました。
1963年、日本でバナナの輸入が自由化され、台湾からの輸入量が急増しましたが、1970年代には台風の影響を受けやすく、品質が不安定な「台湾」産にかわり、「エクアドル」産のプランテーションバナナが主流になります。
その後、フィリピンのミンダナオ島に、日本へ輸出する為の広大なバナナプランテーションができ、フィリピン産バナナが多く安く店頭に並ぶようになりました。
現在でも、フィリピンからのバナナが輸入量の85%~90%を占めています。
バナナの種類・分類
バナナと聞いて思い浮かべるのは、やや湾曲した円筒形の黄色い果物。
手軽な甘い果物としてそのまま生で食べるか、もしくは、調理してスムージー、バナナケーキ、プリン等といったスイーツ用というのが、おおかたの認識だろうと思います。
ところがなんと、世界には300種類以上もの品種のバナナがあるのです。(学説によって異なり、200~500種類と幅があります)
大別すると、おなじみの「生食用バナナ(Table Banana)」と、煮たり焼いたりして食べる「調理用バナナ(Plantain)」の2つに分けることができます。
生食用バナナの主な品種としては、「ジャイアント・キャベンディッシュ」、「セニョリータ」、「モラード」、「ラツンダン」等があります。
果肉がやわらかく熟したものを、主に生で食べます。
普段、食べているバナナはこの「生食用バナナ」ですね。
また、調理用バナナの主な品種には、「ツンドク」、「カルダバ」、「リンキッド」等があり、果皮が緑色のものが多く、果肉は固く、イモ類に似ています。
皮をむいて焼く、揚げる、煮込みにする、もしくは、乾果をデンプンのような乾燥粉末にすることもあります。
バナナには、生食用と調理用の2種類がありますが、日本が輸入しているのは殆どが生食用バナナです。
しかしながら、世界で生産されているバナナの内、生食用は43%で、57%は料理用になります。
さて、日本ではあまり見かけない「調理用バナナ」ですが、世界の国々では、どんな料理に使われているのでしょうか?
インドは、紀元前4世紀にアレキサンダー大王が遠征した時、インダス川上流でバナナを発見したという記録が残る程、バナナの歴史が古い国です。
辛い料理にも、甘い料理にも使用され、特にカレーとの相性は抜群で、バナナの葉っぱも、器代わりに使われます。
ごはん、複数のカレー、副菜からなる「ミールス」と呼ばれる定食が、よくバナナの葉っぱに載せられて出てきます。
バナナの原産地である東南アジアにおいても、バナナ料理はどこの国でもポピュラーです。
例えば、インドネシアでは「ピサン・ゴレン」と呼ばれるバナナフリッターが有名ですが、マレーシア、タイでも、これと同様の揚げバナナ料理が供されます。
アフリカのウガンダ、タンザニアでは、「Matooke amanyige」というマッシュしたバナナ料理が代表的です。
これは主食代わりにもなるものですが、その他に、肉や野菜などと煮込む料理にも使われています。
また、中南米でもバナナの料理は多彩で、豚の皮の揚げたのを混ぜた「モフォンゴ」をはじめ、揚げもの・詰めもの等に大活躍です。
バナナの栄養素
バナナ100g当たりの栄養素は以下の通りです。
バナナ100g当たりの栄養素 | |
---|---|
エネルギー | 86kcal |
タンパク質 | 1.1g |
炭水化物 | 22.5g |
繊維 | 1.1g |
カリウム | 360mg |
マグネシウム | 32mg |
カロチン | 56μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンC | 16mg |
バナナの効果
バナナの効果は以下の通りです。
効果 | |
---|---|
1 | むくみ予防 |
2 | 整腸作用 |
3 | 糖質を効率よくエネルギーに |
以下、効果の解説です。
むくみ予防
バナナには、体内の水分を調整してくれる栄養素である「カリウム」が豊富に含まれており、むくみの解消にも役立ちます。
カリウムは水に溶け出しやすい栄養素ですが、バナナは調理不要で、そのまま食べられる為、効率よくカリウムを補給できます。
整腸作用
バナナは、水分を吸収し、便のかさを増やして腸のぜん動運動を活発にする「不溶性食物繊維」が豊富です。
十分な水分を補給しつつ食べることにより、便秘の解消に役立ちます。
加えて、腸内の善玉菌を増やす「オリゴ糖」も含まれており、ダブルで整腸作用が期待できる食材です。
糖質を効率よくエネルギーに
バナナには100gあたり0.05mgの「ビタミンB1」が含まれます。
ビタミンB1は、糖質からエネルギーを生み出すために必要な栄養素です。
バナナは糖質が多い果物ですが、一緒に含まれるビタミンB1の存在によって、効率よくエネルギーに変えることができます。
鮮度の良い美味しいバナナの見分け方
鮮度の良い美味しいバナナは、軸の結合部がしっかりしていて皮に傷がなく、適度な弾力を保っています。
時間経過と共に皮が黒ずんでくる為、キレイな色のものが新鮮な証拠です。
バナナの保存方法
バナナは生まれも育ちも南国の食べ物です。
その為、低温に弱く、長時間低温にさらされると「風邪」と呼ばれる症状が現れ、果皮が変色したり、追熟しなくなってしまったりします。
寒い時期は、できるだけ暖かい部屋で保存しましょう。
夏の暑い時は、買ってきたらビニールの袋から出して、風通しの良いところで保存し、ムレ・カビを防ぐようにします。
なお、冷蔵庫に入れると黒く変色してしまいます。
熟しすぎてしまったバナナは、「冷凍してバナナアイスにする」、「ピューレ状にしてお菓子などに利用する」と良いでしょう。
長期間保存したい場合、皮をむいてラップに包み、「冷凍庫」で保存しましょう。